文化・芸術

短編小説:『花』

 雨後の照りつける陽射しのなか、私、凍ってしまう気がしたわとわたしの女がつぶやいた。暑い夏の陽射しと蒸風呂のような湿気のなかで凍るなどと口走る女が正常だとは思えなかった。が、結晶のように固まった光線が紫陽花の葉に照り返す光景には、普段の感...
文化・芸術

短編小説:『性物画』

  その穴は白かった。崖の岩肌が脆く崩れ、私は足場を失った。底の方へと落ちていく最中、私の意識が次第に妙な具合に明確になり、恐ろしいとか死ぬのではないかという不安の彼方に妙な希望を感じていた。私の存在は、その肉体の周りに纏わりついている空間...
グルメ・クッキング

サンテミリオンの罠

日曜日の青空の下、エノテカでサンテミリオンを試飲した。4500円程を支払うと、2001Chカノン・ラ・ガフリエール、2001Chラ・クースポード、2001Chキノ・ランクロ、2003Chモンブスケ、2003Chヴァランドローという錚々たる...
スポーツ

棋士・羽生の「大局観」と中田英寿の引退。

棋士・羽生 善治のドキュメンタリーの再放送をやっていた。十年前にはタイトル七冠全てを独占し、将棋に縁のない私であってもその偉業は知っていた。 わたしは天才という存在について、肉体を超越している霊的な存在のようなものと、勝手に勘違いをしてい...
音楽

初期型i-podを探し出し、アークティック・モンキーズを聴く♪

北極の猿たちという不思議な名前のバンドを知ったのは、四月のロンドンのレコード店だった。 長らくロックとは遠ざかっていたので、とても印象的なCDジャケットのタバコを吸う男の写真を見、印象にあったのだが、買ったのはつい数日前だ。音楽の仕事とも...
学問・資格

波は沖からやってくる。そして思い出は過去から現在へとやってくる。

波を想うと夏が恋しくなる。 98年に僕が再びサーフィンをはじめたのは、どうしてだったかわからない。一度波に乗ってしまうと、なかなかその波の体験を忘れることができない。 僕の乗っているロングボードは9f6というサイズで、つまり284センチく...
Uncategorized

バルセロナ・イースターの思い出

再び春のバルセロナに行く。 先週の日曜日の早朝にカテドラルの近くを散歩していたら、棕櫚の葉を束ねた飾りを持った群集を見た。棕櫚の葉はキリストを祝福するしるしである。ちょうど欧州は聖週間(イースター)のはじまりだった。 キリストがゴルゴダの...
旅行・地域

表参道ヒルズに象徴される病

表参道ヒルズは、安藤忠雄氏の建築したという。もうオープンして一ヶ月は過ぎただろう。 新しい建築が出来ると猫も杓子も行って見るのが、日本人の物見遊山の伝統だ。オープン当初は、5万人もの人を集めたという。一口に五万人というが、東京ドームの巨人...
文化・芸術

短編小説:『テープは反復する。まるでこだまのように』

指先が躊躇う。黒電話のひんやりとした感触。 耳を黒電話の受話器にあてる。ぽわんと外の空気から離されて、ツーっという音が響く。電信柱。その電話線を通って遥かかなたの交換機を通じ、その先にある漁港に通じる道を通り、田園に広がる里山の森のひっそり...
Uncategorized

東京の空を発見する。

「東京には空がない」と、そう想うのは、精神を患っていた高村光太郎氏の奥方ばかりでもない。 が、先日逮捕されたライブドアのホリエモンが住んでいたという六本木ヒルズの屋上から東京を眺めると、そこには素晴らしい空が存在していた。今年になって少し...
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