
葉山マリーナを出発したのは10時半だった。
昨晩の雨天から曇り空となり、肌寒い海原へとボートで出航した。
33フィートのクルーザー。相模湾に面する葉山から、伊豆初島までは一時間半程度の航海だ。友人たちと集い、十名ほどで一路向かった。近海であるのだが、初島までの航海では出会う船は少ない。ちょうど五海里程度の沖合いを進むため、ヨットや小型船舶が沿岸で楽しむ航路をずれているからだという。
360度に拡がる海原と水平線を眺めていると、普段の生活をまったく離れてしまう。至極気持ちが良い。
潮風を浴び、若干具合も悪くなる者もあったけれど、無事島に到着できた。

初島に来ると、まるで遠い小島に来たかのようだ。とても都内から二時間程度でやって来た場所ではない。岸壁に干された網のカラーが眩しく、その収穫物である初島の豊かな海産物を堪能した。あわび、イカ、伊勢海老。新鮮過ぎるくらい新鮮である。実に素晴らしい食材だった。
青山次郎氏はひと夏のヨット生活とぐい飲みを交換したと随筆に書いているけれど、確かに交換する価値のある程、海は喜びがあるなと思う。ヨットで来ると、同じ航路が8時間かかるそうだ。普段のサーフィンに似た自然の力には憧憬があるけれど、まあ僕は船旅には強くないらしい。
僕は昔ヨット部に在籍して一年を海で過ごしたことがある。しかしある台風の時沖の波に呑まれて以来、海が怖くなって部を辞めてしまいヨットには乗らなくなった。その後、高校時代の友人がヨットレースで他界したりと、確かに海の恐ろしい側面も良く理解している。やがてサーフィンをするようになって再び海に戻り、沿岸では大丈夫だけど、やはり陸地が見えないと少し不安になるらしい。
翌日僕は筋肉痛になっていた。多分、体中に力を入れていたのかもと、自分を笑った。友人たちはまったく大丈夫だったらしく、至極楽しかったと笑っていた。
春の海原。葉山→初島
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