
銀座にある『マキシム』の名は余りにも有名だけれども、いままで食する機会がなかった。
理由は高級である=値段が高いということもあるけれど、その他東京のレストランと比べて高価すぎる訳でもない。確かに70年代当時から、高級レストランの代名詞として確か漫画でも見た気もするし、子供でも、どこか遠くで聞いたことのある名だった。自動車のメルセデスベンツであり、フェラーリのように乗ったことがなくても、(当時は見たことがなくても)知っているべき高級レストランだった。
先日出版されたミシュラン東京にも掲載されていないし、勿論それ以前に、80年代からのフランス料理を含めたヌーベル・キュイジーヌの波から取り残された遺跡のような存在である。だからこそ、90年代に大人になった僕としては、そこで食事をしようという頭の中に存在していなかった秘境であった。
壁には、マリアカラス、イブ・モンタン等かつてのフランスの著名人の訪問時のサインが飾られ、バーは古色蒼然と、ロートレックの絵(勿論本物ではないが)で彩られている。椅子はベルベット地である。現在主流である、ミニマルなスタイルの余分がない空間とは対極にあると言ってもいい。しかしここは、確かにイメージするフランスそのものである。シャンソンが似合う空間であり、五月革命以前のフランスへの追憶そのものだと感じる。80年代の五木寛之氏がパイプを吹かしていそうな場所だ。
およそ日本のトレンドは欧米より20年遅れているから、まあ1967年オープンのこの店が1947年のトレンドを体現しているのだろう。現在では、まあ10年以下のギャップかもしれないけど。
食事は、それなりに満足できるフランス料理だということだけに留めたい。良かった点は、ワインリストに飲み頃の銘柄が良心的なプライスで載っていることだ。ワインについては、巷のワインショップで売っている値段よりも、(近年のユーロの高騰も影響しているのだ)安いものが多くある。そこは歴史がある故なのだろう。
それにしても子供の頃想像していた「高級フランス料理」を食し、かつての「高級」の意味を知ったのは、とても感慨深かった。
銀座マキシムに行く・高級フランス料理の代名詞
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