昭和の初期には、「東京には空がない」と、高村光太郎の妻は言ったそうだ。それでは、2005年の空はどうだろう。僕が住んでいる東京の港区には、雨後のタケノコのように高層ビル群が立ちあがっている。政府の高さ規制が緩和されたせいらしい。
港区には、三田の小山町のように戦前の街並みが残っている土地もある。今でも木造の銭湯に人が集い、路地には植木の小鉢が溢れ、野良猫が昼寝をしている。このあたりはかって、青山二郎の父方の土地だったそうだ。
僕の知人の画家はアパートの前の木伐採されそうな時、なんで切るんだと怒ったらしい。大家にとってはいらぬ迷惑なのだが、友達びいきを差し引いても彼の気持ちが分かる。
防災とか、老朽化の問題もある。地震の国だし、もともと建て直すことを前提にした木造建築の文化である。それでも文化的な意匠のつながりがなくなり、モダンな建築に溢れるだけの東京というのもいかがなものだろう。
東京は新しく変わり続けるところが魅力ではあるけれど、それでも少しは立ち止まって考えてみてもいいだろう。
東京の空
旅行・地域
コメント