
モーターサイクルの醍醐味を知った。
港区から高坂のSAでの集合に向け、僕はDucati M400を走らせた。初めてツーリングに参加することにしたのである。初めてバイクにて長距離を走るのは少し不安だったが、勢い参加してみた。参加者のほとんどの方は、バイク関係の広告であったり等、長年バイク業界の周辺で仕事に関わってきた方である。
僕のバイクは年式は2005年製だけど、設計は古く、しかもイタリア製である。充分に整備をして参加しようと、ブレーキパットの交換、オイルの交換、バッテリーの管理ツールの導入等、対策はしてみた。結構準備は周到にしたと思う。しかし最後まで、今年の夏の暑さにどう対応するかは、判断が出来ず、メッシュのライディングパンツは買ったものの、ジャケットは、ダイネーゼの3シーズンのインナーを外して対応した。メッシュのプロテクター付、シャツはあったけど、長距離には不安を感じ、そうしたのだけど、港区の家を出て、都内を午前7時に走っている段階で、暑さに閉口した。夏の暑さは、凄まじい。脱水症状にならないかなと不安になりながらも、環八を北上し、練馬インターから関越へ。

ツーリングの予定の通りだった。高坂まで自宅から80kmくらいあるし、佐野からも90kmくらいあるので、僕にとっては、約700kmのツーリングである。しかも聞くところによると、数年前まで奥只見にはバイクは通行禁止だったそうだ。約100kmはガソリンスタンドもない道である。
1日目:高坂S.A9:00発⇒(約90km)⇒10:00月夜野IC⇒給油⇒国道17号三国街道⇒(月夜野から20km)10:30赤谷湖あたりで休憩11:00発⇒(約45km)⇒12:30湯沢町岩原高原「ピッツェリア ラ・ロカンダ・デル・ピット-レ岩原」にて昼食⇒14:00発⇒国道17号三国街道戻り・石打から国道353・魚沼スカイライン(小休憩)・国道253で六日町(約35km)⇒15:30六日町・国道291号・小出にて給油・国道352号(約35km)⇒大湯温泉17:00着
2日目:大湯温泉10:00発⇒奥只見湖畔(小休止)⇒(約110km)⇒13:00木賊温泉にて昼食&入浴(約75km)⇒16:00西那須野塩原IC(給油)⇒(80km)⇒17:00佐野SA着(休憩・解散会)
参加車両は10台だったが、高坂SAで1台のDucati SR4がトラブル。ガソリンが漏れ出しているらしい。急遽、彼は高坂のドカッティショップに修理へ。まず9台でのスタートとなる。僕以外は、みんなが大型バイクであり、自分も大型を調達して参加したら良かったかもと思うけど、今さらしょうがない。ネットの情報でも、M400はオイルの温度が130度以上に注意した方がいいとコメントがあったので、注意しながら走ってみる。
普段は都内を乗るばかりなので、風を受け、清々しい山を抜ける高速道路を走るのは爽快だった。初心者である僕をサポートしてくれる先輩がいたものの、ほとんどのバイクは遥か彼方に走り去る。自分のバイクは、自分の技術も、速度も一杯いっぱい(その時点では、そのような気がした)しかも油温が、119°、125°、129°と、どんどん高くなっていくが、無事に月夜野に到着。料金所のカーブが結構きつく、一瞬回りきれないなと思うが、事なきを得る。自動車のETCカードも持ってきたのでスムースに支払えたけど、ETCの機械がついてないと割引にならないことを知る。そうだったのか、ETC。
赤谷湖で休憩。ジャケットを脱ぐと、汗まみれ。どこに行っても、今年の夏は猛暑である。そこでも1台のBMWが、バッテリートラブル。結局8台になってしまう。僕のバイクは大丈夫だろうかと思いつつ、三国峠を走りだす。トンネルに入ると、クールダウンするのが気持ち良い。が、高原だから涼しいんじゃないかと想定していた、苗場も、湯沢も、猛暑だった。自分のジャケット選択を反省する。苗場では、ハーレーのイベントやってるらしく、プラスチックのボックスを段々に重ねて積み込んだハーレーが溢れている。それにしても、ずっと万歳したようなポジションのハンドルで疲れないのだろうかと思う。

湯沢に到着。「ピッツェリア ラ・ロカンダ・デル・ピット-レ岩原」にて昼食。そこで修理したDucati SR4が合流。石窯でのピザが美味しい。それにしても、夏のスキー場に来ている人達って、結構いるのだなと知る。いつもは海しか行かないので、山に来るのは数年ぶりである。そこから魚沼スカイラインへ。狭いところでは、1車線くらいの稜線を走っていく。400ccなので、アップダウンのたびに、2速まで落とし、そこから5速までの繰り返し。他の人たちは、もう少し楽そうだ。いくつかある展望台に来ると、米で有名な魚沼が一望できる。そこに遠雷が聴こえてきたので、私たちは道を急ぐ。

緩やかな田舎道を走り、やがて大湯温泉へ。BMWも再度合流し、別のメンバーも1台、東京からやって来た。温泉で一日の疲れを癒し、宴会。バイク及び時事放談。
翌日、曇天であったが、9時半には宿を出発し、樹海ラインを奥只見へ。100キロを超える峠道がはじまる。カーブを過ぎるたび、特に左コーナーでは、サーフィンのターンを思い出し、眼とからだを曲がる方向へ投げ出すようにすると、しっかりと曲がっていく。下りだと勢いもあってスパッと4速くらいでアクセルを戻すと、3千回転程度になっていい感じ。昇りがやってくると、失速するのでもたついて、ギヤを落としたり。すべてのギアをフルに使って、ベテランライダーたちを、懸命に追っていく。波と違って、次にはいくらでもコーナーが来るから、練習また練習。永遠に波がたつ海岸にいるように、奥只見のコーナーは贅沢だ。やがて湖畔までやってきて休息。まだ半分も来ていないらしい。ふー。メンバーがバーナーで湖畔で珈琲を淹れてくれた。

奥只見ダムを眺望し、沢が流れるという後半の道へ。コンクリートの道を沢が流れているというのだが、半信半疑だった。晴れているから、あまり流れていないだろうと思ったが、此処は冬は人を寄せつけない豪雪地帯であり、豊富な水量の沢が、コーナーの先を横切っていた。


面白い場所もあるものだなと笑っていたが、それでも体は結構暑さと峠でヘロヘロだ。やがて無限に続くかと思っていたコーナーも終わり、尾瀬の森林にバイクは出た。木賊温泉に着くと、まるでトトロのおばあちゃんのような声をした女性が、岩魚を焼いて食べさせてくれた。しばし、湯につかり、昼寝をし、ゆったりとした日本の夏を味わうもつかの間、塩原では突然の大雨に突入し、レインウエアを大慌てで着込んだり、雨に打たれながらも、森林地帯のコーナーを走り抜け、塩原温泉の渓谷を仰ぎ見、ようやく那須塩原ICに着いたのが、予定よりも50分程ディレイした午後6時前だった。結局、佐野SAではなく、塩原の次のSAで解散し、そこからは約180kmの一人旅となったが、あれだけ練習したコーナリングも成果があったのか、とてもスムースに走ることが出来たのは幸いだった。
都内に入ると、渋滞に巻き込まれたけど、まあうまくかわしながら、やっと霞が関ICを降りる。マンションのガレージに入るまではと気を引き締める。確かに都内の方がぼうっとしてたら、危ないなとは思う。
その晩は泥のように眠ろうと思ったが、頭は脳がぐるぐる動いて様々な光景がフラッシュバックする。アドレナリンが止まらない。辺境の700km疾走し、脳が旧バージョンからクロックアップしたみたいだった。不惑の夏の冒険だった。
東京発、新潟六日市から奥只見湖畔の峠を走破する-バイクツーリング。
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